潰瘍性大腸炎は発症原因が分からない難病に指定されていますが、大腸の粘膜に炎症が生じて、下痢・血便・腹痛などの症状が生じます。
この潰瘍性大腸炎にチョコレートが有益だと言われていますが、本当でしょうか?
チョコレートは潰瘍性大腸炎に有益って本当でしょうか?
アメリカでは潰瘍性大腸炎に悩まされている患者が日本の倍以上いるとのことで、日本ではない珍しい治療や療法が取られていないのかリサーチしていると、「潰瘍性大腸炎の患者にダークチョコレートを使って治療を実施した」という調査研究を見つけました。
ピアレビュー(※「ピアレビュー」については後述)的にも「極めて有益である」という結論が出ており、エビデンスに基づく説得力のある文献です。おそらく世界的に見ても初めてと思われる内容になっております。
現在、日本では平成25年度末現在で166,060人の方々が潰瘍性大腸炎に悩まされているとの数値が発表されております。(医療受給者証および登録者証交付件数の合計より)
若い人から年配の方まで、潰瘍性大腸炎に悩まれている方に少しでも朗報になると思い紹介させていただきます。
この調査研究を実施したのは、腸管炎症性疾患センター(the Center for Chronic Intestinal Inflammatory Diseases)のフェデリカ・フルファロ胃腸科専門医(Dr. Federica Furfaro)の投稿によるものです。
潰瘍性大腸炎の人がチョコレートで悪化するケース
潰瘍性大腸炎(UC)の人の中には、チョコレートを食べたことで症状が悪化するケースがあります。すべての患者に当てはまるわけではありませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
1. 乳製品・乳糖に弱い場合(ミルクチョコで悪化しやすい)
ミルクチョコレートには乳糖(ラクトース)が含まれています。
乳糖不耐症の人は、摂取すると以下の症状が起きやすくなります。
腹痛/下痢/腹部膨満感
潰瘍性大腸炎やクローン病の持病を持つ人はは腸が敏感なため、通常より症状が出やすい傾向があります。
2. 脂質の多さが腸に負担をかける
市販のチョコレートにはカカオバターなどの脂質が多く含まれています。
脂質は腸に負担がかかるため、
・便がゆるくなる・排便回数が増える・腹部不快感
につながることがあります。
特に再燃期(症状が不安定な時期)は影響が強く出やすいです。
3. 砂糖の多さが腸内発酵を促す
甘いチョコレートは糖質が多いため腸内で発酵が進み「ガスが溜まる」「下痢しやすくなる」「便意を強く感じる」といった症状が起こる場合があります。
70%のカカオであれば潰瘍性大腸炎に有益な作用がもたらされた
フェデリカ・フルファロ専門医の研究調査結果によれば、潰瘍性大腸炎に有益だった最高のチョコレートは、ダークチョコレートと呼ばれるもので、70%のカカオと30%の有機ショ糖で製造されたものでした。
このダークチョコレートは、記憶力の向上や心を落ち着かせる効果があり、免疫応答を刺激したといいます。
さらに炎症や精神生理学上のストレスにも効果を発揮したそうです。
しかし気を付けたいことは、「チョコレートの苦みを緩和するため豊富な砂糖が使われている」あるいは「抗酸化作用が損なわれるほど飽和脂肪酸が添加されている」市販のチョコレートは効果が期待できないばかりか潰瘍性大腸炎発症のトリガー(引き金)になる可能性があると言います。
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カカオ独特の苦みやビター感たっぷりながらも香り高くチョコレートの旨みが溢れます。
高級ショコラのようであり、高評価レビュー多数の一品です。
研究調査方法及びその実施結果で明らかになった成果とは?
研究調査方法は、自発的に調査に協力してくれた5人の潰瘍性大腸炎の患者に対して、「70%のダークチョコレート48グラムを8日間毎日摂取」してもらいました。
その結果、免疫応答に関与するTリンパ球細胞が活性化され、免疫応答が大幅に改善されました。
このことに加えて、記憶力の向上や新しいことを学ぶスキルの向上も認められたそうです。
適切なダークチョコレートの適度な摂取が潰瘍性大腸炎に有益な作用をもたらすことを発見!
カカオに含まれるフラボノイドは、一酸化窒素の生成と放出を刺激することができます。
このことは、中枢神経系と末梢神経系の脳血流と血液還流の増加につながります。
ニューロン(神経系を構成する基本となる細胞)に酸素とブドウ糖を提供するなど、脳と感覚器官の有毒な代謝物を排除する機能も発揮します。
適切なダークチョコレートの適度な摂取は大腸を調整することに役立ち、心臓血管系にも有益です。
ダークチョコレートにはポリフェノールが含まれていますので、抗炎症作用を発揮します。
大腸の粘膜を改善し、好中球の浸潤の減少、および大腸炎の改善に関連する一酸化窒素の生成を伴うサイトカイン(細胞から分泌される低分子のタンパク質)により炎症が誘発されることを抑制していると考えられます。
適正量のフラボノイドを含有したダークチョコレートの摂取後に見られた一酸化窒素の放出、また、アテローム(粉瘤)発生の減少を伴う血管拡張と抗炎症作用が見られました。
さらに、一酸化窒素の増加はカカオが降圧効果を持つ可能性があります。また、善玉菌と言われるHDLコレステロールを増加させ、悪玉菌と言われるLDLコレステロールを減少させるなど、脂質状態が改善することも期待できます。
米国ではピアレビュー(peer review)と呼ばれるシステムを導入しており、研究成果を発表するときはその前に同分野の専門家の検証を受ける必要がありますので、この調査研究は正しいと認められているものであると言えます。
潰瘍性大腸炎患者を支援する米国のその他のサイト
英文になりますが、このサイトは栄養学の視点から潰瘍性大腸炎の患者を支援するサイトです。
潰瘍性大腸炎患者の妊娠・栄養・レシピなど患者支援に特化した情報を提供しています。
因みにチョコレートについては、「有益な腸内細菌がチョコレートの中のポリフェノールを消化・吸収して役立つ」ことや「簡単に吸収されるより小さな分子に発酵させ、抗酸化・抗炎症作用を発揮する」ことなどが記述されています。また、チョコレートはダークであればあるほど有益で、ホワイトチョコレートなど甘味料を使って加工されたものは避けるべきであることにも言及しています。
潰瘍性大腸炎とチョコレートのまとめ
フェデリカ・フルファロ胃腸科専門医の研究成果は、逆転の発想から生まれたような素晴らしい発見です。
この研究成果を信じてトライしたい場合は、適切なダークチョコレートの入手などに配慮する必要があります。
また、日本人はワクチン接種で散見されるようにデリケートな方が多いので、少量からスタートして様子を見たいと思っている方もいるかもしれません。自分がベストと思われる対応をされることが健康維持につながると思います。
なお、日本における研究をリサーチしたところ、チョコレートと潰瘍性大腸炎に関する本格的な研究は見つかりませんでしたが、次のサイトで「チョコレートが脳の認知機能改善に一役」という記事を見つけました。
また、京都大学大学院の村上明助教がPDF版で「カカオ抽出物の大腸炎抑制作用」について述べています。
参考にしてみてください。
潰瘍性大腸炎の人にとって、チョコレートを食べることはタブーのようなイメージがあり諦めていた人も多かったと思います。
適切なカカオ分量と自分に合うチョコレートを探して、ストレスの息抜きに間食できるようになれば良いですね!
















