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潰瘍性大腸炎 で死ぬかもしれない禁忌の薬

薬の飲み合わせ禁忌

様々な病気や症状に対して飲用・投与する薬の中には、ある条件の人に使用できない薬がある。

いわゆる禁忌(きんき)と呼ばれるものである。

これは特定の病気の人であったり、特定の薬をすでに飲んでいる人、妊娠中の女性、アレルギー疾患者など一定の条件にあてはまる人が誤って処方された薬を飲むと深刻な副作用が出ることから禁忌、すなわち間違った使用を避けましょうということである。

潰瘍性大腸炎を患っている方が服用している薬の中でも、ほかの病気に対する薬が禁忌となるものがあるので要注意である。

今回はそんなヒューマンエラーなニュースの紹介をする。

潰瘍性大腸炎の薬の処方ミスで「死ぬ思い」をする

新城祥敬さん弁護士ドットコムニュースより

2021年10月12日、東京在住の新城祥敬さんは併用することを禁忌とされている薬を処方したとして、処方した医師と薬剤師に対して慰謝料1110万を求めて東京地裁に提訴した。

原告である新城祥敬さんは従来、潰瘍性大腸炎の持病があり2017年から免疫抑制剤の「アザニン(アザチオプリン)」を服用している。

今回の事故の経緯となった2020年8月、新城さんは痛風の発作がおこり9月7日に、かかりつけの医者から痛風の治療薬である「フェブリク」を処方され、病院の近くにある薬局で薬を受け取った。

アザニンとフェブリクの両方の薬の服用を始めてから3週間ほど経ったぐらいに、新城さんは仕事中の階段をのぼる途中に息切れや動悸、めまいなどの貧血の症状があらわれた。

その後貧血の症状は日常生活にまで出るようになり、新城さんはかかりつけの医師にフェブリクの副作用を確認したが、医師は否定をしている。
しかしながら採血の結果で、赤血球や白血球が異常に低い数値だったので、潰瘍性大腸炎の治療で通う大学病院を受診すると「生きている人間のデータではない」と即ファブリクの服用を中止。

17日間の入院を強いられ、輸血をするなどの重度の貧血治療が行われた。

アザニンとファブリクの併用禁忌

潰瘍性大腸炎の症状を緩和する免疫抑制剤の「アザニン」痛風の薬である「ファブリク」は説明書にも明記されているほどの常識ともいえる”併用禁忌”の薬同士である。

しかも今回ファブリクを処方した、かかりつけ医は、新城さんが潰瘍性大腸炎を発症した際に大学病院を紹介した医師で、当然新城さんの抱えている潰瘍性大腸炎のことも知っており、服用しているアザニンについても認識があったと思われる。
アザニンとファブリクを併用して服用することで骨髄を作る作用が抑制され、これが原因となって新城さんの重度の貧血がもたらされたと考えられる。


併用禁忌の薬を処方した医師と薬剤師は

処方を謝った医師は弁護士ドットコムの取材に対して「詳細が分からないため、現状ではコメントができない」とし、薬局側も該当の薬剤士は9月いっぱいで退職しているとの回答であった。

新城さんは「医師も薬剤師も謝罪もない。併用禁忌について患者は何もわからず、お医者さんと薬剤師さんを信用して飲むだけ。怖い思い、死ぬ思いをしました。謝罪だけでなく、反省してほしい」と話した。