2021年12月15日、温泉による免疫効果を大分県の別府市と共同研究している九州大学が「温泉への入浴は痛風や過敏性腸症候群や肝臓病など特定の病気のリスクを下げる効果がある」との中間報告を発表しました。
来年の春までに症例を増やし、国際的な学術誌へ論文を発表する予定であるとのことです。
温泉による免疫効果の実証研究の内容
今回の研究では九州大都市研究センターや九大別府病院らによる研究グループが、人の腸内に存在する腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう、別名「腸内フローラ」)に注目。
日本人18,000人の腸内細菌叢のデータベースからなる検査キットで病気のリスクを数値化しました。
研究内容としては、温泉への入浴の前後でこの腸内細菌叢がどう変化したかを調べました。
治験者に採血・採尿・採便を行ってから一週間毎日温泉に入浴してもらい、そのごの数値を再計測しました。
研究の中間報告
温泉の泉質別や男女別、入浴時間の長短で腸内細菌の増減の違いがはっきり出たとのことで、今回のニュースではその一例が公開されてます。
単純温泉 | 痛風と過敏性腸症候群のリスクが1割以上減(男性グループ) |
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硫黄泉 | 肝臓病のリスクが1割以上減(男性グループ) |
単純温泉 | ぜんそく、肥満のリスクが1割以上減(女性グループ) |
塩化物泉、炭酸水素塩泉 | 別の複数の病気のリスクが1割未満減(女性グループ) |
今回は40人の研究データをもとにしましたが、来年の春までに100例を集めてもっとはっきりとした研究成果を世界に発表し、日本の温泉への長期滞在を狙うとの話でした。
温泉の消化器系への湯治効果
日本には2万を超える温泉施設があり、古くから温泉を楽しむ文化が根付いてきました。
また温泉に入浴して得られる薬用や湯治の効果も古くから注目され、歓楽のみならず療養の意味でも日本において有名になった温泉地も数多くあります。
温泉はクローン病や潰瘍性大腸炎といった消化器系の病気だけでなくリウマチや関節炎など幅広い病気に効果があるとされています。
なかなか温泉に行けない方は、おうちで温泉気分を味わってください。
日本人が消化器系に弱い理由
日本人が世界的に見ても胃腸が弱い理由が4つ挙げられます。
①日本人の食の欧米化による消化器系の負担②牛乳やカフェインが体質的に合わない③ピロリ菌が多い④ストレスを溜めやすい
それぞれの細かい解説や胃腸などの消化器系に強い泉質の紹介は以下のページでもう少し詳しく紹介してますので、良かったらご覧ください。
またその中でも特に消化器系に強い「日本3大胃腸病の湯」という3つの温泉がありますので、そちらもご覧ください。
日本の湯治のエビデンスに期待有り
日本の伝統文化として「温泉に入ればなんか病気が良くなったきがする」という湯治の文化が、いよいよデータサイエンスによってエビデンスが作られ、
世界に発信される時代になりました。
我々日本人でも今まで眉唾だったり、あまり温泉に浸かりに行くことに積極的でなかった人も、もしかしたらこれを機にどこかに行くきっかけになるかもしれません。
クローン病や潰瘍性大腸炎は日本だけでなく海外でも多くの疾病者がおり、毎日悩みながら生活されてます。
その方がその国にある温泉で効用されたり、日本に訪れて日本の温泉に触れていただく日が来たら楽しみですね。
もちろんそれによってご自身の症状が和らげば、より幸いです。
さらなる情報を期待するニュースでした。また追って記事にしたいと思います。