食事

潰瘍性大腸炎と野菜の上手な付き合い方

食物繊維

炎症性腸疾患の1つである潰瘍性大腸炎では、腸に負担をかけないためにも野菜は食事制限の対象になります。しかし、これは野菜を一切食べてはいけないということではありません。

心と身体の健康のため、そして何よりも好きなものを食べるという楽しみのためにも、潰瘍性大腸炎の方が野菜と上手に付き合っていくための方法についてここで詳しくお話致します。

潰瘍性大腸炎はなぜ野菜がダメなの?

潰瘍性大腸炎は腸内で炎症を起こす疾患で、とても治りづらいため難病指定されています。

潰瘍性大腸炎になると薬などの内科的治療とともに食事療法が始まります。

これは腸内の炎症を抑えるためにも「出来るだけ腸に負担をかけない食事をしましょう。」というもの、つまり「食事制限」です。

潰瘍性大腸炎の食事制限は「低脂肪」・「低残渣」・「低刺激」3つが基本となりますが、この中の「低残渣」、つまり消化しやすいものを食べましょう。という所で野菜に含まれる食物繊維が引っかかります。

食物繊維とは

一昔前までは「タンパク質」・「脂質」・「炭水化物」・「ビタミン」・「ミネラル」を5大栄養素と言っていましたが、今ではそこに食物繊維を含めて6大栄養素と言われるようになっています。それだけ食物繊維は身体にとって大切な栄養素だという事です。

食物繊維は体内に吸収されませんが、健康にはとても大切な栄養素なのです。

その役割は①小腸で栄養の吸収速度を緩やかにし、②血糖値や血圧の急激な上昇を抑えたり③水分を吸収し排便をスムーズにしたりといったものです。また、④食物繊維は腸内の善玉菌にとっては大切な餌となります。これによって腸内環境を整える、つまり整腸作用があるという事です。

食物繊維には整腸作用がある。

そんな食物繊維は、大きく2つに分けることが出来ます。

水に溶けるタイプの「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」です。

難消化性

問題は「難消化性」

食物繊維の定義は「人の消化酵素によって消化されにくい、難消化性成分の総称」です。

つまり、身体にとってとても大切なものではあるが、消化されにくいので低残渣を心がける必要がある潰瘍性大腸炎の食事には向いていないということです。

食物繊維は肛門まで運び出されるのに腸の活動が活発になります。そのため潰瘍性大腸炎の活動期では症状を悪化させる可能性があるのです。

身体と相談しながら食べましょう。

潰瘍性大腸炎の活動期では低食物繊維が勧められます。

しかし寛解期、つまり症状が落ち着いている時は少しずつ食物繊維の量を増やして行くと良いでしょう。

野菜に含まれるポリフェノールには抗炎症作用があることから、潰瘍性大腸炎でも寛解期には積極的に野菜を摂ることで腸の炎症が抑えられるという報告もあります。

しかし、気をつけなければならないのが腸に狭窄がある場合です。狭窄があると詰まることもあるので、その場合は医師と相談しながら進めていきましょう。

水溶性食物繊維を摂ろう!

潰瘍性大腸炎の場合、不溶性食物繊維よりも排便を促進させる水溶性食物繊維の方があっています

多くの野菜は不溶性・水溶性どちらも含んでいますが、水溶性食物繊維の含有率が高いものを選ぶようにすると良いでしょう。

そして生野菜ではなく火を通して摂るようにしましょう

主な水溶性食物繊維は、「ペクチン」・「イヌリン」・「グルコマンナン」などです。切り干し大根や穀物、またわかめなどにも多く含まれています。

潰瘍性大腸炎と野菜の上手な付き合い方のまとめ

食事制限は好きなものが食べられない辛さもありますが、食べられるかものが限られることで献立を考えるのも大変になりますよね。

身体と相談しながら少しずつでも野菜が食べられるようになると、献立の幅も広がり毎日の食事が楽しくなってくるでしょう。

無理せず急がず、食物繊維で腸の働きを整えていきましょう。
マジカルスムージー