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ブロッコリーが炎症性腸疾患(IBD)を抑制する?九州大の研究

ブロッコリー

2022年1月12日、九州大学大学院の西田基宏教授と西山和宏講師らがブロッコリーの新芽(スプラウト)など緑黄色野菜に含まれるスルフォラファンやイベリンという成分が炎症性腸疾患の炎症を抑制することを発見したという論文を発表しました。

①まず細胞膜表面にある炎症誘導性のGタンパク質共役型受容体「P2Y6R」がIBDの病態形成の増悪因子であることが明らかにしました。

②さらにP2Y6Rを阻害する化合物を探索したところ、機能性食品(ブロッコリースプラウト)に含まれるスルフォラファンなどのイソチオシアネート化合物(ITCs)が、P2Y6Rの内在化およびプロテアソーム系分解を介して阻害することを見出しました。

引用元:「スルフォラファンが炎症誘導性の受容体タンパク質を分解するメカニズムを解明(PDF)」九州大プレスリリース

スルフォラファンとはなんぞや?

スルフォラファンとはファイトケミカルと言われる、植物など天然由来の化学物質のひとつです。機能性表示食品としても認められています。
元々スルフォラファンの効果には注目されており、1990年代にアメリカのジョンズ・ホプキンス大学医学部教授であるポール・タラレー博士が腫瘍の形成を抑制する効果を発見してから、様々な効果があると言われてきました。

  1. ピロリ菌に対する抑制作用
  2. スギ花粉に対する炎症作用の緩和
  3. 飲酒後の代謝効果を上げる
  4. 活性酵素による便通の整え
  5. 血中のAGE(終末糖化産物)濃度を低減させる効果が期待




ただのブロッコリーとは違う

ブロッコリーに含まれるスルフォラファンの濃度は品種、生育ステージ、栽培方法などによって大きくことなります。

村上農園HPより「https://www.murakamifarm.com/」

より濃度の高いスルフォラファンを摂取するためには、接種専用に育てられたブロッコリーかどうかを確認することをお勧めします。

ブロッコリースプラウトの効果的に食べる注意点

ちなみにブロッコリースプラウトの見た目はこんな感じです。
我々の知っているブロッコリーという歯ごたえのあるイメージよりも、優しい豆苗のような見た目ですね。

ブロッコリースプラウト村上農園HPより

そのまま生で食べる

スルフォラファンを効果的に摂取するためには加熱を避けたほうが良いです。

難しい話になりますが、スルフォラファンはスプラウトでは「SGS(スルフォラファングルコシノレート)」という状態であり、それに「ミロシナーゼ」という酵素の働きによってスルフォラファンに変わりますが、このミロシナーゼは熱に弱いため出来るだけ生のまま食することをお勧めします。

よく噛んで食べる

またよく細胞を潰すようによく噛んで食べることでSGSとミロシナーゼの作用が活発になりスルフォラファンの吸収が良くなります。
細かくカットしてメニューに混ぜたり、スムージーにして飲用することがおすすめです。
スルフォラファンはすぐに揮発するので、スムージーにした場合はフレッシュな状態で早めに飲みましょう。

サプリメントを活用する

サプリメントはだいたいの場合SGSの状態でカプセル化されており、体内でスルフォラファンに変わります。
一日のサプリメント摂取でおよそブロッコリースプラウトの1.5パック分が接種できます。

日本では2018年にカゴメが日本で初めてのブロッコリースプラウトのサプリメントを開発しました。

炎症性疾患だけでなく味覚異常にも期待

今回の九州大学の研究成果である、「スルフォラファンやイベリンが細胞膜表面にある P2Y6R と結合し、細胞内への
取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制する」という内容は味覚・嗅覚を司る受容体にも共通する機構であるため、IBDの治療や予防以外にも味覚異常や嗅覚異常のメカニズム解明にも期待される大きな発見になりました。
今後の続報にも期待です。