紹介

潰瘍性大腸炎だと献血はできない?理由を詳しく解説

潰瘍性大腸炎は献血できるか

街中や学校、ショッピングモールなどで見かける献血車。
献血は、輸血が必要な患者さんに血液を届けるために行われています。
「自分の血液で助かる命があるなら…」とぜひ協力したいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし残念ながら、潰瘍性大腸炎を患っている方の場合は、献血はできないケースがほとんどです。

本記事では、なぜ潰瘍性大腸炎の方が献血に参加できないのかを詳しく紹介しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

献血はなぜ行うのか?

潰瘍性大腸炎で献血できる?
まず初めに、なぜ献血が必要なのでしょうか。
血液は身体中に酸素や栄養を運んだり、侵入してきたウイルスと戦ってくれたり、私たちが生活する上でなくてはならない働きをしています。
しかし、現代の技術をもってしても、血液に変わるお薬は開発できていないというのが現状です。
「失血死」という言葉があるように、私たちは血液がないと生きていくことはできません。酸素がなければ脳は働いてくれませんし、ウイルスと戦ってくれなければすぐに病気になってしまいます。
現在、重症の貧血に対する1番の治療法は輸血です。
そのため、献血によって血液を集める必要があるのです。

怪我や病気によって大量出血してしまった人に輸血をするため

日本には、輸血を必要とする人が年間約100万人いると言われています。
献血によって集められた血液の80%以上は、がんや白血病、貧血などの病気と闘う人のために使われています。

(参考:日本赤十字社「輸血の必要性」

潰瘍性大腸炎は腸が炎症を起こしてしまい、血便や下痢、腹痛などの症状が現れる病気です。症状にある血便は、腸の炎症によって腸管の壁に潰瘍ができ出血している証拠。
便と混じって出てくる場合が多いので、気がついたら結構な量の出血で貧血になってしまっているという場合もあります。
潰瘍性大腸炎が原因の貧血で、輸血をした経験がある方もいらっしゃるでしょう。


献血によって集められた血液は長くて21日しか保存できず、その上人には血液型があるため、集めた血液が誰にでも使えるわけではありません。
そのため、輸血が必要な患者さん全員に血液を届けるためには、多くの方に献血に参加してもらう必要があります。
(参考:厚生労働省「輸血用血液製剤の供給状況」

血液検査と血清マーカー
クローン病や潰瘍性大腸炎患者の血液検査の結果の見方と新しい血清マーカー (LRG)実際に血液検査の検査結果を教えてもらったり、また見たりしたとき、その結果が何を表すか理解できている患者さんは、意外と少ないのではないでしょうか。 今回は代表的な血液検査の意義と、今後実施される可能性がある新しい潰瘍性大腸炎とクローン病のIBDのマーカーについて解説いたします。...

潰瘍性大腸炎の人は献血できない!その理由は?

潰瘍性大腸炎では献血できない?
潰瘍性大腸炎の原因は分かっておらず、症状も人によってさまざまなので、献血に参加できるケースもあります。
しかし、潰瘍性大腸炎の方は輸血を控えた方が良いとされる場合が多いのが現状です。
ここでは、なぜ潰瘍性大腸炎の方が献血を控えた方が良いのかを解説していきます。


貧血になってしまう場合があり危険!

潰瘍性大腸炎は、腸の炎症によって腸管から出血してしまうことも。じわじわ出血していると気づきにくい場合もあります。
献血では、一度に多いと400ml、少なくとも200mlの血液を採取します。人の血液の量は体重の約1/13と言われており、体重が60キロの方であれば、4.6Lほどの血液があることになります。
(参考:愛知医科大学病院「ヒトの循環血液量はどれくらいありますか?」

健康な人であれば、400mlの献血をしても問題がない場合がほとんどです。
しかし、もし腸管からじわじわ出血していたとしたら、献血を行うことによって貧血になってしまう可能性があります。
自分の健康に影響が出てしまう可能性がゼロではないため、潰瘍性大腸炎の方の場合、献血は控えた方が良いでしょう。

薬を飲んでいる場合は献血できないルールがある

潰瘍性大腸炎の方は、症状の程度によってお薬を内服している場合もありますよね。実は、お薬を飲んでいる場合は一部を除き献血をすることができません。

他にも献血可能なお薬はありますが、潰瘍性大腸炎の方が飲むような抗炎症薬を飲んでいる場合は、献血をすることはできません。
症状が軽度な方でお薬を内服していない場合、体調ともに問題がなければ献血が受けられる場合もあります。相談してみてくださいね。

過去に輸血歴がある場合は献血できない

過去に輸血をしたことがある方も、献血をすることはできません。潰瘍性大腸炎は、腸管から出血することもある病気なので、治療の際に輸血をしたことがある方もいらっしゃると思います。
輸血をしたことがある場合は、献血を行うことができません。

現在の検査法では検出できない未知のウイルス感染の可能性が考えられるため、というのが理由です。
もちろん輸血歴のある方がウイルスに感染しているとか、輸血によって病気になるという訳ではありません。安心してくださいね。
(参考:日本赤十字社「献血をご遠慮いただく場合」

潰瘍性大腸炎と献血のまとめ

潰瘍性大腸炎でも献血できるか
潰瘍性大腸炎の方は、献血が受けられない場合が多いです。
献血を受けることによって貧血になってしまう場合もありますし、お薬を飲んでいる場合や輸血歴がある場合は、献血を断られてしまうこともあります。

献血によって救われる命があるのは確かですが、まずは自分の健康が1番です。
「それでも献血したい!」という方は、潰瘍性大腸炎だと絶対に献血ができないというわけではないため、献血センターのスタッフや主治医に相談をしてみてくださいね。