紹介

クローン病でもあり不眠症でもあり

クローン病であり不眠症でもあり

近年では、クローン病の方に限らず特に不眠症に悩む人が増えてきています。

不眠症では本来の生体内の規則正しい睡眠リズムが乱れてしまうことが原因の一つと判明してますが、その乱れそのものを引き起こすきっかけや要因から考えてみるとまさに現代病と言っても過言ではありません。

日本においては約5人に1人(約20%)が、このような不眠の症状で日々悩んで苦労していると伝えられています。

クローン病の人は不眠症になりやすいの?

不眠症自体は、小児期や思春期、青年期に発症するのは稀とされていますが、クローン病が若年層で発症することが多いのと同様に概ね20~30歳代に始まって、その後年齢を重ねて加齢とともに不眠症の発症率は増加します。

ある睡眠に関する過去調査した結果によりますと、クローン病などの随伴疾患の有無に関わらず20代若年者から50代中年層のうちで、その半分以上の方が自分自身の睡眠に関する話題で何かしらの不満事項を抱えており、9割以上の人々が自ら睡眠課題を改善したいと意欲的に取り組んでいると言われています。

不眠症という上手く眠れない病気のために医療機関で外来通院をしている方のおよそ20人に1人が実際に睡眠薬を服用しているとされています。

クローン病患者の不眠の原因はやはり

不眠症を引き起こす理由や原因は個々によってさまざま挙げられ、代表的なものには例えばクローン病を罹患している人にとっては下痢や血便などの症状を来すことから身体的ストレスを感じてさらに苦痛などの心理的ストレスも加わって通常よりも不眠症になるリスクが高くなると考えられます。

他にも仮に度重なる飲酒を含む不適切な生活習慣をしている場合や、クローン病治療において相性が合っていない薬を長期的に服用しているケース、そしてクローン病合併症として貧血や倦怠感が著明であれば全般的な身体の不調性なども多く自覚されることが容易に想像できますので、健常人と比較してクローン病の方が不眠症に陥る可能性は決して低くないと言えるでしょう。

クローン病や潰瘍性大腸炎の諸症状により健常者よりもストレスが溜まりやすいことは不眠の原因になりやすいのかもしれない
alpoca(アルポカ)

クローン病患者と潰瘍性大腸炎患者の不眠症と疾患活動の関係性エビデンス

興味深いデータがあります。
2020年5月に大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学の飯島英樹先生たちが「炎症性腸疾患の疾患活動性に及ぼす精神的ストレスの影響、および不眠症との関連」を研究・報告しました。
報告によると、クローン病患者303人・潰瘍性大腸炎775人の計1,078人を対象に研究を行ったところ、クローン病患者の25.7%・潰瘍性大腸炎の21.0%が不眠症に該当しました。

また、自身の症状の悪化に精神的ストレスを感じており不眠症のある患者の割合は疾患活動が強いという数字が出ました。

(参考)CareNet「ストレスで炎症性腸疾患の病状が変わる患者、変わらない患者の差異」記事へ(本文中に原著論文へのリンク有)

不眠症が与える影響

クローン病の人が不眠症になってしまった時は

不眠症に関しては、生活習慣リズムの乱れや心理的負担にかかる要因など多岐にわたり様々なものが睡眠障害の原因となりますので、クローン病の方でも良好な睡眠衛生状態をしっかりと保って維持することが着実にできるような治療手段が重要であると考えられます。

例えば、あるクローン病に罹患している人物の夜間における生活スタイルや決まった習慣事項が良くないということであれば、その人の生活習慣そのものの改善を指示することも肝要な視点となります。

私自身、飲食従事のため生活リズムが不規則で生活習慣がよろしくありません・・。やはり病状は悪化しやすく感じます。

また万が一クローン病の寛解期などで油断して過度のアルコール摂取をして不眠症になってしまったならば、苦渋の決断になるかも知れませんが飲酒量自体をなんとか努力して減らすことも本人に求めなければなりません。

こうした日常生活態度に対する直接的アプローチに加えて、
医療専門機関ではベンゾジアゼピン系睡眠薬やメラトニン受容体作動薬などの薬物療法
も現実的には考慮されます。

ただし、そうした不眠症に対する薬物治療内容が薬剤の副作用などの影響でクローン病自体の病状を悪化させたり、あるいはクローン病の治療薬との兼ね合いで不都合な薬理的相互作用が出現したりする可能性も考えられますので、かかりつけ医や主治医の先生ともよく相談されることをお勧めします。

出来るだけ薬物による不眠症の治療は避けたいですよね
ドクターベジフル青汁

不眠症がクローン病に与える影響とその予防法とは?

前述したように睡眠障害や不眠症はまさに今や国民病であり、その原因は多岐に渡ります。

不眠症では生活習慣を仮に整えたとしても、1カ月以上にわたり不眠状態が続き、日中の眠気や倦怠感、さらには集中力低下、意欲減退、食欲低下、抑うつ症状などを自覚しますので、ただでさえクローン病で腹部症状があって食思不振がひどい場合にはさらに体や心に不調が現れて、日常生活に深刻な支障をきたすので要注意です。

ですから、クローン病を患っている人は決して不眠症にならないように、例えば起床時間や就寝時刻を極力一定に保ってみる、長時間の昼寝はできるだけ避ける、就寝直前には明るい照明を回避して出来る限りパーソナルコンピューターや携帯電話、そしてスマートフォンの使用を控えるなど持続可能な個々の解決方法を見出してくださいね。

クローン病の方では栄養状態や食事内容に関して常日頃から慎重に細心の注意を払っていらっしゃるとは思いますが、寝る前に夕ご飯を摂取しすぎたり、就寝直前に大量に経口摂取すると腹部症状を悪化させるのみならずに胸やけなどを引き起こして不眠症になる原因となりますので出来る限り回避するようにしてくださいね。

長期的に快適な睡眠生活を送り、クローン病の病勢を悪化させずに症状を安定化させることで今よりもさらに素晴らしく日々の生活が充実したものになるように様々な工夫をしてみてくださいね。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。