一戸建てやマンションなどマイホームを購入する時にはさまざまなお金が必要となります。
ある出版社が行った調査結果では、住宅購入の際に約71%がローンを利用、現金一括購入は約9%でした(相続が8%、その他が12%)。
一般的に住宅ローンを検討する時には少しでも金利が低いローン商品から探すのですが、潰瘍性大腸炎など持病がある方は気を付けなければならないポイントがあります。
それは団体信用生命保険(団信)です。
住宅ローンを利用する場合団信への加入が必須条件になっている事が多いのですが、病院に通院中の方や手術歴がある場合、団信へ加入できない場合があります。
潰瘍性大腸炎など国指定の難病で通院している場合、住宅ローンを利用する事は現実的に無理なのでしょうか。
結論から言うと、現在の症状によっては団信へ加入できる可能性は十分あります。
実際に住宅ローンを検討していた方の実体験などを詳しく紹介していきましょう。
団信とは生命保険の一種
団信の保険料は住宅ローンの金利に含まれますが、団信の補償内容によって上乗せされる金利は変わります。
金融機関の住宅ローンを利用する場合団信への加入が一部を除いて必須となっていて、加入できない場合住宅ローンは利用できないことになります。
団信へ加入する場合、一般的な医療保険などと同様保険会社による審査があります。
所定の申込書兼告知書を提出するのですが、ローン借入金額が一定額を超える場合生命保険会社所定の専用診断書を別途提出する場合もあります。
また告知内容によっては医師の診断書を提出しなければなりません。
住宅ローンを申し込む一般的な流れ
分譲マンション購入時には、お金の支払いに関してはおおよそ3回発生することになります。
①申し込み時に支払う証拠金と②売買契約時に払う手付け金を支払い後、住宅ローン審査の手続きを行います。
その後③頭金残金や諸費用などを準備して、引き渡しの1週間前までに最終支払いを行います。
分譲マンションの場合は支払い方法や金額や時期に関して明瞭で分かりやすくなっています。
注文住宅の場合
対して注文住宅の場合、ハウスメーカーや工務店などと打ち合わせをしながら進行しますので、見積額が最終的にいくらになるのか、いつ決まるのかは分かりません。
分からないままでも金融機関などと住宅ローン審査も進める必要がありますので、同時進行でさまざまな事を決めていかなければならないのです。
通常ローン審査が通り次第正式に住宅業者と建築請負契約を締結することになりますが、一般の方だとスムーズに手続きが進行するはずが、持病などで団信に加入できず住宅ローンが通らなかった場合、新たに別の金融機関を探す必要に迫られます。
家づくり中には週1回ペースで住宅業者と打ち合わせをすることも珍しくないのですが、更に金融機関を別途探すとなると、時間的精神的負担が重くのしかかるのです。
金融機関へ住宅ローンを申し込む際には借入金額や購入予定の物件情報(住所や住宅業者名、担当者や面積等)を記入する必要がありますので、その都度住宅業者の担当者に内容を確認してもらう必要があります。
住宅ローンの申し込みに時間がかかってしまうとその後のスケジュール全てが大幅に遅れてしまうので、出来るだけの準備は事前に行いたい所ですよね。
そこでおススメしたいのが、団信のみを先行して申し込む事前審査です。
住宅ローン申し込み時は団信部分だけの事前申し込みも可能
住宅ローンの事前審査書類は記入する項目が多数ありますが、団信だけに限っていえば一種の生命保険ですので一般的な申込書兼告知書と同様な場合が多いです。
借入金額や住宅業者などを記入する必要はなく、個人でも提出可能です。
実際に団信の審査を通過した方の事例
潰瘍性大腸炎で通院している方の一例をご紹介しますと、購入予定の住宅業者からのアドバイスで団信のみを先行して申し込むことにしました。
書類は事前に住宅業者の担当者から渡されていたので、その書類に記入して提出する時だけ金融機関を訪問して説明を受けながら団信の申し込みをしました。
金融機関は通常土日祝日は営業していませんが、住宅ローンの相談や申し込みなど一部の業務は営業していたのです。
そして団信の申し込みをしてから約1ヶ月、無事審査が通ったのです。
潰瘍性大腸炎でマイホームを諦めかけていた分、とても喜んでいたそうですよ。
ちなみにこの方は地元の地銀2行に団信の申し込みを行っていますが、2行共団信審査を通過しています。
インターネットで検索すると難病で通院していると団信は無理などという口コミが多数ありますが、実際は加入できるケースも十分あるのです。
持病がある方で住宅ローンを検討している方は、住宅業者や金融機関にまず相談してみましょう。
団信無しでも利用可能なフラット35
潰瘍性大腸炎などの持病で仮に団信に加入できない場合でも住宅ローンを利用できるケースがあります。
それがフラット35です。
全期間固定金利で審査が民間の金融機関より柔軟になっているフラット35ですが、大きな特徴として団信の加入が任意になっています。
通常民間金融機関で住宅ローンを利用する場合、団信への加入が必須条件になっていますが、フラット35に関しては加入できなくても利用可能です。
持病で団信無しで住宅ローンを利用できるのは大変魅力的ですが、ここで注意することが潰瘍性大腸炎は現在の医療では完治できない難病です。
炎症が落ち着いている寛解状態と一時的に悪化してしまう波が繰り返し訪れるのが潰瘍性大腸炎で良く見られる症状となっています。
10年20年と住宅ローンは長期間利用するローンです。
その間に症状が変化するリスクもありますし、仕事に支障が生じてしまう事も考えられます。
潰瘍性大腸炎の方は一般の方よりも保険やローン利用時は十分検討する必要があるのです。
フラット35を団信無しで検討している場合、民間の医療保険に別途加入して万が一に備えるケースもあるようです。
大切なことは住宅業者や金融機関との信頼関係
ここまで住宅ローンと団信についてご紹介しましたが、住宅業者や金融機関の担当者との信頼関係を築くことが一番のポイントです。
家づくりには多くの人の協力が欠かせません。
住宅業者と正式な請負契約を結ぶまで幾度となく足を運ぶ必要がありますが、その間に不安なことや疑問に思っていることは出来るだけ早く解消しておきましょう。
住宅ローンや団信に関しても金融機関や保険会社の審査を待たなければなりませんし、万が一審査に落ちてしまった場合大幅な計画の見直しや場合によっては中止に追い込まれてしまうかもしれません。
そういう時に実は持病持ちだったとか伝えていない情報があると、一気に信頼関係は崩れてしまいます。
事前にそのような情報を伝えておくと、相手もプロですから何らかの対策案を考えてくれるのです。
潰瘍性大腸炎で住宅を検討していたある方は、住宅ローンを検討する段階になった時に住宅業者に持病の事を伝えたそうです。
そして万が一団信に加入できなかった場合、家づくりに関しては一旦白紙に戻したいと条件付で交渉した結果、担当者と合意できたそうです。
その後団信も住宅ローン審査も無事パスして、現在は新しい家で家族と楽しく過ごしているとのこと。
自分にとって都合が悪いことはつい隠してしまいがちになりますが、家づくりは人生最大の買い物とも言われます。
潰瘍性大腸炎などの難病になっていても家を買う事は十分可能なのです。