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日本でも広がれ!便意を守るトイレカード

日本でもトイレカードを!

このブログのテーマでもある全てのIBDの方、すなわち潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、その他の腸疾患の方に共通する悩み。
それはトイレである。

自宅にいても寝起きや食事の前後、出かける直前などトイレに行く時間が多く、常にトイレに気を取られているが、何より外出先でのトイレはさらに緊張感がある。

日々のルーティンの動線上だけでも人によっては電車での移動を挟むことがあり、ストレートな通勤や移動が出来ることは常ではない。
家族や友人との外出も同じくだ。慣れない場所に行くときには不意の催しに駆け込むトイレの場所も分からず、その緊張感がより便意を誘う。
高速道路の車での渋滞、長距離移動、グルメ旅行、マリンスポーツやウィンタースポーツなどのアクティビティ、キャンプやアウトドア、一般的な健常者ならワクワクが伴うイベントでも、われわれ炎症性腸疾患を持つIBDの人間にはかなりの躊躇と緊張感があるイベントであることは皆がうなづくところであろう。

つい先日も新型コロナウィルスでの緊急非常事態宣言のあった前後、大阪の繁華街に知人と食事にいった帰り道に、トイレに行きたくなってコンビニに駆け込んだが、すでに繁華街のコンビニは通常時からトイレの貸し出しはしておらず、慌てて二件隣のマクドナルドに飛び込みハンバーガーをオーダーしながらトイレを借りたい旨を伝えたが、まさかのコロナ感染対策としてトイレの貸し出しを断られた恐怖の経験があった。

常に公衆便所が周りにある環境ではない、コンビニもトイレの貸し出しを辞めている。

そんな時に心の中でいつも叫ぶ。「お金を払うからトイレを貸してくれ!」と。

アメリカのトイレアクセス法

アリー・ベインインタビューを受けるアリー・ベイン

クローン病や潰瘍性大腸炎その他炎症性腸疾患のトイレの悩みは万国共通だ。

アメリカのイリノイ州に住むアリー・ベインという当時10代の若者が大型小売店での買い物中にトイレに行きたくなったが、トイレの利用を拒否されしまう。
その結果、彼女は大勢の人前で事故を起こすこととなった。

なんという痛ましい話だろう、明日は我が身、想像するだけでも同情を超える。

しかしアリーは偉かった。そんな悲劇にも負けず、地元イリノイ州の州知事に連絡した。

アリー法案「トイレアクセス法」

アリーが州知事に相談し、起草された法案がある。
彼女と同じように「医療的に緊急事態を抱えている人なら誰でも、お店の従業員専用トイレを使わせてもらうことが出来る」と。

この法案は2005年にイリノイ州において全会一致で可決。それ以降アメリカの17の州が同様の法案を採用した。

トイレカードの仕組みについて

Just Can’t Wait“Just Can’t Wait”はアプリでも使用できる。

アリー法案「トイレアクセス法」を利用には、どういった手続きが必要になるのだろうか?

アリー法案を利用するには、医療従事者が署名した書類か、関連するNPO非営利団体が発行した身分証明書を提示すれば良い。

ワシントン州など一部の州では、トイレアクセスのフォームをオンラインで入手できるようにしている。
印刷できるフォームがない場合は、医師に依頼することも可能だ。

アメリカでお大きな腸疾患の団体である「Crohn’s&Colitis Foundation(クローン病・腸炎財団)」の会員になると「トイレカード」を発行してくれる。
会員になるには30ドルが必要になるが、このトイレカード以外にも定期的な病気に関するニュースや地域のサポートサービスなどの特典が付いてくる。

Bladder(膀胱)&Bowel(腸)のコミュニティも最近、トイレカードと同様のiOS向けの無料スマホアプリをリリースした。
Just Can’t Wait(待てない!)」という名前のトイレカードには、最寄りの公衆トイレを見つけるのに役立つ地図機能も含まれている。
Android版の開発は現在進行中である。

トイレカードを利用する

イギリスのトイレカードトイレカードは英国にも広がっている。

トイレカードや署名入りのフォームを手に入れたら後は常に持ち歩くだけ。

突然の便意が催しても、落ち着いてお店の関係者の方にトイレカードを提示する。
トイレカードにはクローン病に関する情報が記載されているので、「なぜ私がトイレを借りたいのか?」ということを理解してくれるだろう。

万が一だが、このトイレカードの存在をお店の従業員の方が知らずに拒否する可能性もある。
その場合は、再度緊急事態であることを伝える。
それでも頑なに駄目だと拒否する意地悪な方もいるだろう、いや、人には様々な事情がある。
病気からくる便意が強いのでトイレを一心に借りたい、というこちらの事情も言ってしまえば私たちの都合である。

しかしながら背に腹は変えられない、外出先でお漏らしをしてしまうことは、命の危険には関わらないかもしれないが、
精神的なダメージも大きく、同伴者との今後の関係性、その後のスケジュール、あらゆることにおいてデメリットが大きい。
そう「トイレを貸してさえくれれば全てが何もなかったことのように世界は動く!」

残念ながらお店の方には、法案で決まった罰金や法的措置を伝えなければならない。

それでもトイレを貸してくれなかったらどうなる?

ここからは大人の時間である。

あなたがどうその便意を解消したかは分からない、体の外に出し切ったのか体内にとどまったままなのか、いずれのことかは個別のケースになるので想像するに終わらせる。

整理してみる。

もし自分がアメリカのアリー法案(トイレアクセス法)と同様の法案がある17の州にいて、突然の便意に襲われた。
見渡した感じでは近くに公衆トイレはなさそうだ、今いるこの店でトイレを借りれたらそれがベスト!
お店のスタッフにトイレカードを提示する。
しかしながらトイレカードが通用しなかった、、どうなるのか?私が?いやお店が。

地元の法執行機関にコンプライアンス違反を報告しよう。
この法案のルールを守っていない場合のお店側の罰則は、(州によって異なるが)100ドルの罰金もしくは警告書、もっといくと民事罰則まである。

日本でもアリー法案「トイレアクセス法」を!

go hereカナダカナダでもトイレを借りれる「go here」活動が。

以上、アリー・ベインがきっかけとなってアメリカの17州で成立したトイレアクセス法によるトイレカードの効力について見ていただいた。
私たちクローン病や潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群を患うIBD患者として、とても素晴らしい取り組みだ。
トイレを貸してくれるお店の方には本当に感謝でしかない。

日本でも年々クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の数は増えている。
同じ悩みを持つ人が日本全国にたくさんいることだろう。

常にIBDであることをアピールするバッヂやステッカーは少し主張が強く、恥ずかしく感じる場面のほうが多いだろう。

ただトイレに行きたいときだけ、さっと提示してお店の方もすぐに理解してくれる環境が日本にもあれば!
もっと外出が楽しくなるし、今まで我慢していた旅行や食べ歩きなんかも出来るようになるかもしれない。

ついでに言うと公衆トイレアプリもあれば、言うことなしだ。

この記事がきっかけでムーブメントが起きて、トイレカードとトイレアプリが出来る世の中に期待したい。