潰瘍性大腸炎は腸の中に潰瘍ができてしまい、出血や下痢、腹痛などの症状が起こる病気です。原因は分かっておらず根本的な治療法も見つかっていないため、難病に指定されています。
そのため、潰瘍性大腸炎を患っている方は、症状が悪化しないためにもお腹に優しい食べ物を選ぶ必要があります。ですが、食べ物は意識していても飲み物はどうでしょうか。ただでさえ食べるものに気を遣わなくてはならないため、飲み物まで気が回らないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、潰瘍性大腸炎の方でも安心して飲むことができる麦茶に焦点を当ててお話をしていきます。
飲み方まで詳しく紹介しているので、日々の生活に役立てていただけると幸いです。
麦茶ってどんな飲み物?
麦茶は、緑茶よりももっと前、戦国時代の武将たちも愛飲していた歴史の深いお茶です。
(参考:伊藤園「天然ミネラル麦茶」)
麦茶といえば、あの香ばしい香りでしょう。麦茶は、大麦殻付きのまま炒めて煮出した飲み物です。炒めることで、香ばしさが残る味わいになるのですね。
栄養面でも麦茶はとても優れています。カフェインを含まず、ミネラルを豊富に含んでいるため、水分補給をしながら体に悪い影響なく栄養補給も可能です。
潰瘍性大腸炎でも麦茶は飲める!
結論、潰瘍性大腸炎の方でも麦茶は安心して飲むことができます。潰瘍性大腸炎の方は、摂取するのに注意が必要な食べ物や飲み物が多いため、安心して飲めるのは嬉しいですよね。
ここでは、なぜ潰瘍性大腸炎の方に麦茶がおすすめなのかを解説していきます。
カフェインを含まない麦茶は安心して飲める
毎日の飲み物として、緑茶や紅茶、コーヒーなどを好んで飲まれる方も多いでしょう。しかし、これらの飲み物にはカフェインが含まれています。
カフェインは、コーヒーやお茶に含まれている天然成分です。一般の人で少量であれば「集中力アップ」や「目が覚める」効果が期待できますが、妊婦さんや子供の場合は摂取量に注意が必要です。日本ではあまり言われていませんが、カナダやアメリカ、WHO(世界保健機関)などでは、1日あたりの摂取量を制限している国もあるほどです。
カフェインには、大腸の働きを活発にする働きがあることも報告されています。そのため、カフェインは潰瘍性大腸炎の方にとってはお腹に刺激を与えてしまう可能性があります。麦茶であればカフェインを含まないため、潰瘍性大腸炎の方でもお腹への刺激を気にせず飲むことが可能です。
(参考:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取について」)
ミネラルも補給できるから症状が出ているときでもOK!
麦茶は、大麦を炒めて煮出して淹れたお茶です。そのため、ミネラルが豊富に含まれており栄養分もしっかりとることが出来ます。
潰瘍性大腸炎には、下痢や腹痛などの症状が出ている「活動期」と、症状が治っている「寛解期」があります。活動期のときには内服薬で症状を抑えたり、食生活に気をつけたりして過ごさなくてはなりません。治療法がない潰瘍性大腸炎とうまく付き合っていくには、なるべく寛解期を長くすることが大切です。
活動期の際には食べられなくなるものが増えてしまうため、思い通りに食事が摂れず栄養不足になってしまう危険もあります。さらに下痢をしていると脱水状態に陥ってしまうこともあるため、水分補給も必要です。
そのような活動期でもカフェインを含まない麦茶は、腸への刺激も少なくミネラルも豊富に含まれているため、最適な飲み物と言えるでしょう。
潰瘍性大腸炎の人におすすめな麦茶の飲み方
麦茶は、潰瘍性大腸炎の方が症状が出ている場合でも安心して飲むことができる飲み物です。さらに少しの工夫を加えることで、お腹に刺激を与えずに麦茶を楽しむことが可能になります。ここでは、麦茶をもっと安心して飲むための工夫と、潰瘍性大腸炎の方におすすめな飲み物を紹介していきます。
冷やさず常温の麦茶を楽しむ
暑い夏、冷蔵庫でキンキンに冷えた麦茶はとても美味しいですよね。しかし、氷が入っているような冷たい飲み物は、腸に刺激を与えてしまう原因となります。
熱すぎるのも腸には悪影響なのでよくありませんが、飲みやすい常温の飲み物がおすすめです。
そのため、潰瘍性大腸炎の方に優しい麦茶であっても、常温か飲みやすい程度のホットを選ぶと良いでしょう。
コンビニやスーパーでは、麦茶は冷やされた状態で売られていることがほとんどです。そのため、飲む前に常温に戻すか、ホットのものを少し冷ましてから飲むなどの工夫が必要になります。
自分で作る場合は傷んでしまうことを防ぐため、こまめに常温で作っておくのがおすすめです。
麦茶の他におすすめな飲み物とは?
潰瘍性大腸炎の活動期でも安心して飲める麦茶ですが、だからといって麦茶だけを飲み続けていたら飽きてしまいますよね。ここでは、麦茶と同じくらい安心して飲める飲み物を紹介していきます。
潰瘍性大腸炎の活動期で下痢などの症状がある場合には、脱水を防ぐためにも経口補水液やスポーツドリンクを飲むと良いでしょう。しかし、スポーツドリンクはカロリーが高いものもあるため、下痢がひどくて食事が摂れない時に留めておくことをおすすめします。
また、下痢による脱水状態を防ぐためには、適度に塩分が取れる薄めのお味噌汁や梅昆布茶などもおすすめです。食欲がないときでも飲みやすく、水分補給にぴったりです。
少し甘めの飲み物が飲みたいときは、りんごジュースがおすすめ。りんごジュースの果汁はお腹に刺激を与えないため、潰瘍性大腸炎の方でも飲みやすいジュースです。
(参考:IBDプラス「潰瘍性大腸炎と飲み物」)
潰瘍性大腸炎と麦茶のまとめ
潰瘍性大腸炎を患っている方には、症状が強く出てしまう「活動期」と症状が治っている「寛解期」があります。治療法がない病気であるため、潰瘍性大腸炎とうまく付き合っていくには寛解期をなるべく長く維持することが大切です。
さまざまな食べ物や飲み物が制限されてしまう中で、麦茶はお腹への刺激がほとんどなくミネラルも豊富に含まれるため、症状があっても飲むことができます。さらに、ホットや常温の麦茶を選ぶことで、お腹への刺激を最小限にすることが可能です。
一方でカフェインが含まれる飲み物や氷が入っている冷たい飲み物は、お腹に刺激を与えてしまいます。
寛解期を維持していくためにもこれらの飲み物は避け、活動期にはぜひ麦茶を活用してみてくださいね。