IBD(炎症性腸疾患)は、クローン病と潰瘍性大腸炎の大きく2つに分けることができます。
その中で、この記事ではクローン病について見ていきましょう。
クローン病とは
炎症性腸疾患のひとつです。腸疾患とありますが、口から肛門までの消化器器官全てに炎症が起こりえ、特に大腸や小腸の壁に炎症や潰瘍が慢性的に出来ます。
現在のところ原因は不明で、それにより重度の下痢や腹痛、腸の出血、血便、体重減少、食欲不振などがひきおこされます。クローン病からのさまざまな合併症もおこる場合があります。
炎症やただれ(びらん・潰瘍)は連続的ではなく、とびとびで発生するのが特徴です。
過去数十年前から世界的に患者が増え、現在日本では特定疾患の難病指定の病気として認められています。
ちなみに病名の由来である「クローン」は、1932年に病気を初めて報告したアメリカのクローン医師にちなんでつけられました。英語では”Chron’s Disease”略して「CD」と言われることもあります。
何が原因でクローン病になるのか?
今現在、クローン病の要因は確定されておりませんが、おおまかに
- 遺伝的な要因
- 喫煙の有無
- 過労やストレスからの免疫負担
- 細菌やウィルスからの感染要因
- 食事による成分が免疫疾患をおこす要因
などが考えられています。つい最近の見解では、遺伝的要因を背景に、食事からの成分で免疫細胞が腸を刺激し炎症を起こしていると考えられています。人によって発症の引き金が様々であり複合的なことが原因の特定に至らない現状です。
クローン病発症のタイミング
クローン病は年齢的な発症タイミングが非常に顕著です。
クローン病の発症はだいたいが30歳以前で、ほとんどが14歳~24歳です。
統計的には発症人数は男性のほうがやや多く、女性が14歳~20歳に対し、男性は20歳~24歳となっています。
最近では小学生でも発症しやすくなっていますが、症状が分かりづらく、しばらくたってからクローン病と診断されるケースがあります。
もちろん30歳以上の発症もないわけではなく50歳から発症する方もおられます。
年々増加するクローン病
クローン病のひとつの要因に、「食の欧米化」があげられます。
近年日本においても、高脂質で油分の多い、特にファストフードが外食だけでなく家庭の食事にも増えてきています。
それに関連してか、1976年には128人だった日本のクローン病患者(特定疾患医療受給者証交付件数から)は2014年には4万人を超え、2016年には42,789人にまで増えております。