炎症性腸疾患の1つである潰瘍性大腸炎を患うと、水分補給について悩む人も多いようです。「あまり水分を摂り過ぎない方がいいかな?」と考え、水を飲むのを控える人も少なくないですが、実際のところはどうなのでしょう。
健康のため、そして何よりも潰瘍性大腸炎の症状を抑え改善に向けていくためにも、ここでは潰瘍性大腸炎の方にとって正しい水分補給の方法について詳しく説明致します。
潰瘍性大腸炎は下痢の症状を伴う
潰瘍性大腸炎は、腸内で炎症を起こし様々な症状を引き起こしますが、その中の1つの下痢があります。通常の下痢は、暴飲暴食や身体の冷え、精神的ストレスや食あたり・水あたりが原因で、自律神経が異常をきたし腸の水分吸収機能が過剰に亢進する事で起こります。
しかし、潰瘍性大腸炎の下痢は違います。潰瘍性大腸炎の場合、腸の内側にある粘膜で起きた炎症が、下血や潰瘍と言った症状と一緒に、下痢の症状を引き起こします。
通常の下痢と最も違う点は、炎症があるという点です。決して水分の過剰摂取が原因ではないので、下痢だからと言って水分補給を控える必要はありません。
水分補給の重要性
人間の身体は約60%が水分で出来ています。これは身体そのものの半分以上が水分ということになります。水は細胞内液や血液、髄液、リンパ液など身体の至るところに水分は存在し、私たちの身体がしっかりと機能するように働いている最も重要な成分の1つと言えるでしょう。
このうち数%減っただけでも身体は異常をきたしてしまうのです。体内の水分量を維持するためには1日あたり2.0リットルから2.5リットルの水分補給が必要になります。
では、実際に身体の水分不足が起こるとどのような変化が起こるのでしょう。夏の暑い日や激しい運動、またはお風呂やサウナで汗をかくと体内の水分が奪われます。実は体内の水分量のうち、ほんの2~3%減るだけで、初期の脱水症状が始まります。最初は「のどの渇き」、次に「持久力の低下」や「判断力の欠如」、ひどくなると「めまい」や「吐き気」が起きます。
潰瘍性大腸炎などの病気に関わらず、全ての人にとって、水分補給はとても大切な事だと覚えておきましょう。
潰瘍性大腸炎の水分のとり方
では実際に、潰瘍性大腸炎の方にとって正しい水分補給とはどのようなものでしょう。
通常の水分補給は「こまめに摂る」・「意識的に摂る」・「汗をかいた後は必ず摂る」の3点が大切とされています。これは潰瘍性大腸炎の方にも同じことが言えます。潰瘍性大腸炎でも腸はしっかりと水分補給をしてくれるので、大切なのは身体が吸収しやすいような水分補給を心掛ける事でしょう。
実は潰瘍性大腸炎だからと言って水分補給で特別気を付けなければいけない事はほとんどないのです。唯一、気を付けてほしいことは「刺激」です。特に活動期では腸に刺激を与えると、炎症反応が悪化し腹痛などの症状がひどくなる事もあります。水を飲む時は冷たすぎず熱すぎず、常温で飲むようにしましょう。
また、「飲み物なら何でも同じだろう。」と考える人もいますがそれは大間違いです。アルコールやコーヒー、炭酸飲料なども刺激物になるので注意が必要です。
アメリカでは炭酸飲料を飲むことで潰瘍性大腸炎の症状が悪くなり、再発率も高くなるという報告があります。
寛解期なら少しくらい良いですが、活動期は出来るだけ控えるようにしてください。
潰瘍性大腸炎の水分補給まとめ
水分補給は病気とは関係なく誰にでも大切な事です。そして病気を患っている人には特に大切な事となります。潰瘍性大腸炎を始めとする消化器疾患では身体の栄養状態と直接関わるだけになおさら大切になるでしょう。
そんな時、正しい知識があれば必要以上に身構える必要もありません。正しい知識で正しい水分補給を心掛けましょう。