大きい2つの腸疾患
ibdとは「inflammatory bowel disease」の略で、日本語では炎症性腸疾患と訳されています。
口から肛門までの消化器官における慢性疾患の総称になり、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)の大きく2つの炎症性疾患をまとめてIBDと言います。ほかにもベーチェット病なども含めていう場合もあります。
(厳密には、ウィルス・細菌や薬剤による感染が原因の特異性腸炎も含めてIBDと言う場合もありますが、このサイトでは主にクローン病と潰瘍性大腸炎(非特異性腸炎)のIBDについて調べていきます。)
どういった病気?
クローン病、潰瘍性大腸炎はそれぞれ似た病気ですが、炎症部位により病名が違い、また症状や程度、対処のアプローチも異なってきます。
それぞれに対しては、また独立した記事で細かく説明していきたいと思いますが、IBD(炎症性腸疾患)の共通した諸症状としては、
腸に炎症がおこり、下痢・血便・腹痛・発熱がひきおこされます。また腸から出血することがあり、その場合、鉄分不足で貧血がおこることがあります。
結果、疲労感や食欲不振につながっていきます。
腸以外にも
IBD患者の25%以上に骨盤などの関節に炎症が起こり、むくみや痛みをともないます。
そのほかにも合併症を引き起こすケースもあります。
特定疾患の指定難病
2019年の今現在、この日本において、IBDの起こる原因が分からなく、完治が不可能のため、特定疾患の指定難病に認定されております。
難病指定があることから、一般的な日常生活が送れなくなる、入院生活を送る、命の危険と隣り合わせであるなどと思われる方もいますが、原因が不明であるという理由と日本の国の施策として病気の原因の解明と治療に対して援助を行っているということを理解していただければIBDにかかった場合や家族・知人にIBDの方がいてもあまりネガティブなイメージではないのかもしれません。
指定難病の受給者証を受け取ると医療費の助成を受けることができます。
受給者証を受け取るには臨床個人調査票を主治医に記入してもらい、各自治体の保健所にて申請します。申請日から受給者証の交付までの医療費についても還付を受け取ることができます。
果たして原因は?
原因の特定にはまだ至っておりませんが、現在のところ
- 遺伝的な要因からくる説
- 細菌や麻疹ウイルスからの感染症説
- 食べ物の成分から腸の粘膜に炎症を起こす説
など諸説あります。
最近の研究では、遺伝的な背景を素に、食事からの成分で免疫細胞が腸を刺激し炎症を起こしていると考えられています。
治療について
完治するための治療はありませんが、今現在行われている治療では、大きく「内科治療」と「外科治療」の2つがあります。
内科治療
腸管の炎症を抑え、寛解状態を目指し継続していくことで健康的な日常生活を送れるようになります。
内科治療では栄養・食事面から症状を抑え、寛解時期をキープしていきます。
また薬を使った治療も行われております。
ステロイドや生物学的製剤、5-ASA(アミノサリチル酸製剤)、免疫抑制剤などを使用します。それぞれに効果と副作用があります。
外科治療
潰瘍性大腸炎とクローン病での外科治療は異なりますが、大まかには
- 腸の狭窄、穿孔(腸に穴が開くこと)
- 腸からの大量出血
- 肛門を含め膿瘍の排膿
- がんなどの合併
- 内科治療では症状がおさまらない場合
などが原因で外科手術・治療が必要になってくる場合があります。
潰瘍性大腸炎、クローン病についてはそれぞれの項目で詳しく見ていきましょう。