SNSで「#高額医療費制度廃止案に反対します」というハッシュタグがトレンド入りし、話題を呼んでいるそうです。
高額医療費制度とは、どんな制度か知っていますか?
この記事では、世間を騒がせている高額医療費制度廃止のニュースと、潰瘍性大腸炎やクローン病などの難病の方が受けられる医療費助成制度の仕組みの2点について深掘りしていきます。
高額医療費制度廃止のニュースが話題に
まず、なぜ高額医療費制度廃止のニュースが話題となっているのでしょうか。
ことの発端は7月26日に財務省が発表した国民健康保険の高額医療費負担金に関する調査結果でした。
これは、政府が行っている事業に使われている税金などの無駄がないかを調べる調査です。
その結果、高額医療費制度を廃止する方向との発表がありました。
高額医療費制度とはどんな制度?
高額医療費制度とは、高額な医療費がかかってしまう場合、国から医療費の補助を受けられる制度です。
高額医療費制度について、国民健康保健法で下記のように位置付けられています。
一般的に国民健康保険は、75歳未満の自営業や無職の人、もしくは社会保険適用外の勤務条件で働いているパートタイマーなどが加入しています。
具体的には1件あたりで80万円を越す高額な医療費がかかる場合、自己負担限度額を差し引いた額が返ってくる制度です。
もし100万円の医療費がかかった場合、自己負担の限度額が80万円とすると、20万円の補助が受けられるということになります。
高額医療費制度廃止のニュースを深掘り
今回のニュースは高額医療費制度について財務省は調査の結果から、「国保運営の予見可能性を高めるためにも、廃止に向けた道筋を工程化すべき」とし、「費用負担を国から都道府県に移管すべきだ」と発表しました。
つまり、完全に廃止ということではなく費用負担が国から都道府県にうつす方向ということです。
日本は少子高齢化が深刻な問題となっています。
東京都などお金のある都道府県は負担できるかもしれませんが、地方は高齢者の割合も多く負担金に使えるお金も少ないことが想像できます。
本当に都道府県の負担は限定的といえるのでしょうか。
費用負担の資金を確保するために、ほかの行政サービスの資金削減、保険料や自己負担限度額の引き上げにもつながるのではないかとの声も聞かれており、話題となっています。
高額医療費制度廃止のニュースに関する世間の声
インターネット上では高額医療費制度のニュースを受けて、さまざまな議論がされています。
衆参議員の米山隆一氏は、自身のツイッターで以下のようにツイートしています。
政府自民党は更に高額医療費負担を全額市区町村単位にしようとしています。それはつまり高齢者の多い自治体は高額医療費の負担が増えたら他の行政サービスを削らなければならなくなるという事で、露骨な地方の切り捨てです。こんな自民党をそれでも支持し続けるのでしょうか?https://t.co/NTMRwnW4zv
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) July 27, 2022
このツイートのリプライには、下記のような意見が寄せられていました。
また日本共産党の太田あやか氏も下記のように述べています。
高齢者の医療費負担を2倍にして、要介護度1、2 の高齢者介護を介護保険の対象外にして、
高額医療費制度も廃止しようとして…ただでさえ物価高騰で苦しい中
「社会保障に使うから消費税はいじりません」と云いつつやってることはこれ。
なんのための政府なんだろう。— 太田あやか【日本共産党・江戸川区議会議員】 (@jcp_oaya) October 1, 2022
実際、「#高額医療費制度の廃止に反対します」のハッシュタグが付けられたツイートには、実際にこの制度のおかげで治療を受けた人からの声も多くありました。
財政が厳しいことは想像に難くないですが、本当に高額医療制度を廃止するしかないのでしょうか。
また都道府県に費用負担を移しても、増え続ける高齢者の医療費を支えることができるでしょうか。
不安や疑問の声が多く上がっています。
ちなみに潰瘍性大腸炎でも入れる生命保険についての記事はこちらを参考にしてみてください。
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難病の人が受けられる医療費助成制度について
高額医療費制度のニュースについて解説してきましたが、他にも医療費を補助してくれる制度がいくつかあります。
ここからは、特に潰瘍性大腸炎やクローン病などの指定難病の人が受けられる「難病医療費助成制度」について解説していきます。
難病医療費助成制度とは?
難病の医療費助成制度は、厚生労働省によって下記のように位置付けられています。
具体的には「難病法」で定められた指定難病にかかっていて、日常生活や社会生活に支障がでる程度の症状がある場合、医療費の補助を受けることができます。
症状の程度は疾患ごとに細かく決められていて、難病指定医の診断が必要です。
難病指定医とは都道府県から指定された医師のことで、難病で医療費助成制度を受けるには難病指定医が記入した診断書が必須となります。
また、症状が軽くても医療費が高額な場合であれば、補助を受けることができます。
世帯収入によって自己負担額が決められているので、1ヶ月にかかった医療費から自己負担額を引いた額が補助として受けられます。
難病で医療費助成制度を受ける方法
難病医療費助成制度を受けるには、必要な書類を各市区町村窓口に提出する必要があります。
必要書類は、下記のとおりです。
①住民票(世帯すべてのもの) |
②指定認定申請書 |
③臨床調査個人票(診断書) |
④市町村民税課税証明書 |
⑤保険証 |
この他にも書類が必要になる場合がありますが、基本的にはこれらの書類を揃えれば問題ありません。
医療費助成制度を申請する流れ
①②難病指定医を受診し臨床調査個人票を記入してもらいます。 |
③「指定認定申請書」「市町村民税課税証明書」などの書類を揃えて市区町村の窓口へ申請します。 |
③-2市区町村から都道府県に書類が送られ、審査が行われます。 |
④審査に通れば、指定難病医療受給者証が発行されます。 |
⑤指定難病医を受診の際に受給者証を見せると、助成が受けられます。 |
指定認定申請書は、県のホームページまたは保健所でもらえます。
また市町村民税課税証明書は、各市町村の窓口で発行が可能です。
これらは市区町村にもよりますが、マイナンバーカードをもっていれば省略できる場合があります。
保険証はコピーを取られるので、あらかじめコピーを持っていくと手続きがスムーズです。
難病医療費助成制度と併用できる制度はある?
先述の高額医療費助成制度は併用できませんが、類似した名前の高額療養費制度は併用ができます。
難病ではない患者でも受けられます。
健康保険に加入していれば3割負担だったり高齢であれば1割負担だったりと、病院の窓口や薬局で払う金額は、実際にかかった医療費よりは少ないですよね。
実は年齢と所得によって医療費の上限額というのが決められています。
もともと3割や1割負担なのにも関わらず、入院等で上限額よりも高い金額を窓口で支払うことになった場合、後から上限額を超えた分のお金が返ってくるという制度です。
こちらの制度は、難病の医療費助成制度と併用が可能です。
1ヶ月あたりの医療費が高額の際に、高額療養費制度と指定難病による医療費助成を併用するときは、まず高額療養費制度の上限額を超えた分が支給されます。
その後高額療養費制度を適用した後の自己負担額について、さらに指定難病による医療費助成が適用されることになります。
難病で入退院を繰り返したり、体調によって医療費が増えてしまったりしたときにありがたい制度ですね。
高額医療費制度廃止と難病の医療費助成制度のまとめ
しかし今後は、高齢者が増えていくなかで財政が厳しい地方の都道府県で制度を継続させていくことが可能なのでしょうか。
「高齢者を見捨てるのと同じ」という厳しい声も上がっています。
今後の動きにも注目が集まりそうですね。
高額医療費制度の見直しに対して、難病の人が受けられる難病医療費助成制度を解説しましたが、これは自己負担額を超えた分の医療費の助成が受けられる制度です。
高額医療費制度との併用はできませんが、高額療養費制度との併用が可能です。
財政の逼迫から今後さまざまな制度が見直しになっていくことが予想されますが、国民のためを想った見直しであってほしいですね。
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