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【解明】歯周病菌と潰瘍性大腸炎の腸内細胞の関係

歯周病と腸内細菌の関係性

2022年9月14日のニュースで福岡歯科大学の口腔歯学部の田中芳彦教授と永尾潤一講師らの研究グループが歯周病が口の中の環境だけでなく腸内の細菌も原因のひとつであることを突き止めました。

この解明は歯周病と炎症性腸疾患の両方に有益な解明で、今後の新たな予防や治療につながっていきそうです。

歯周炎と腸内細菌の関係は以前から分かっていた

以前にも一度記事にした通り、炎症性疾患の患者さんは歯周病になりやすいなどの関連性は以前から指摘されてきておりました。

クローン病と歯周病の関係
クローン病と歯周炎の関係クローン病などのIBD(炎症性腸疾患)と口腔内環境には、関連性があることが知られています。 2013年、スイスのチューリッヒ大学病院で行われた研究により、クローン病による肛門部の病変が歯周炎を悪化させる可能性が示されました。 今回はこの研究の解説を通じて、口腔内環境と腸内環境の関わりについて見ていきましょう。...
  1. 健常者よりIBD患者の方が、歯肉炎や歯周炎が多く見られた。
  2. クローン病における肛門部の病変が、歯周炎を悪化させる可能性が示された。
  3. 歯周炎、歯肉炎以外の口腔内病変は、IBD患者の約10%に見られた。

など2013年のスイス・チューリッヒ大学病院の8ヶ月113人にも及ぶ経過観察で関係性は議論されておりました。

口腔環境から腸内環境は分かっていたが逆の流れが新たに解明

今までも、歯周病の原因菌が腸で吸収されると腸を含む臓器や組織で炎症を起こすことは解明されてきていました。

今回の福岡歯科大学らの研究では「さらにその炎症を起こした細胞が血管やリンパを通って口の中に移動し症状を悪化させる」という仕組みを明らかにしました。

人は一日に約1~1.5Lもの唾液を口の中でつくっては飲みこむ活動をしていますが、歯周病の原因菌となるジンジバリス菌も食べ物やツバを飲み込むことで唾液の中に含まれ一緒に喉をとおって飲み込んでおります。

歯周病患者はこのジンジバリス菌が健常者よりもずっと多く、この病的口腔最近を毎日飲みこむことで腸内細菌(フローラ)のバランスが崩れて、炎症性腸疾患を含む様々な疾患の発症リスクが上がります。

様々な炎症性腸疾患には当然、潰瘍性大腸炎やクローン病、過敏性大腸炎なども含まれ、ほかにも関節リウマチや動脈硬化や癌にいたるまで様々です。

従来の動物実験でも、この飲みこまれた歯周病菌が腸内フローラを崩したのちに、腸管から再び全身に循環することは強く指摘されておりました。

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糖尿病

歯周炎が原因に全身に炎症反応を起こすと血糖値をコントロールするインスリン受容体が常に刺激され、糖が細胞に取り込まれずに血中の糖分濃度が高いままになるという状況が糖尿病です。

この糖尿病の状態は、余分な糖分がタンパク質と結合して歯周の修復しようとする人間の治癒作用を妨げ、さらに歯周炎が悪化するという悪循環をよびます。

予測していたIBDから歯周病の影響

IBDになることにより、鉄分や葉酸・ビタミンB12が腸から吸収することが妨げられます。
葉酸やビタミンB12が不足するとコラーゲンの質が低下し、歯や歯ぐきの強度が落ちます。すると細菌が炎症を起こしやすくなり、歯周炎や歯肉炎にかかるリスクが上がると考えられています。
また鉄分、葉酸、ビタミンB12によるは、全身に酸素を運搬する赤血球の合成が不足し貧血になります。その結果、炎症で傷ついた歯ぐきがうまく修復されず、症状が長引く恐れがあります。

今回着眼した「ヘルパーT細胞」

歯周病の発症と重症化(写真:南日本新聞社

免疫細胞であるヘルパーT細胞はもともと歯周病と関係あると考えられていました。
今回の研究チームではこのヘルパーT細胞に着目し、歯周病の原因菌が腸内細菌と反応することで活性化したヘルパーT細胞が腸から口に移動し歯周病が悪化したことを突き止めました。

腸内細菌を健康に保つ食品

歯周病を悪化させないためには日ごろからの歯磨きなどのケアが必須ですが、それだけでなく腸内細菌を常に整えることも歯周病ケアになってきます。
ヨーグルトやヤクルトのような乳酸菌飲料納豆などの発酵食品は腸内環境(フローラ)を良好に整える作用があるため、日ごろから意識して食生活に取り入れる必要があります。

日々の食生活を改善することは少し面倒であり難しいことかもしれませんが、最近はコンビニで納豆が売っていたり比較的手に入りやすく元々安価なものであるため、おかずのプラス一品に持ってくる、乳酸菌飲料はついでに飲む習慣を作るなどで対処していければ良いですね。
すぐには効果が分かりづらく継続が難しくも感じられますが、1か月もしないうちに肌や便で実感してくると思いますので、頑張りましょう!

潰瘍性大腸炎には納豆が効く
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【まとめ】口の中と腸の中は関係しあっている

今回の研究成果のまとめでは、以前から言われていたとおり
「口腔内のフローラと腸内のフローラは関連しあっている」ということです。

どちらかにだけ気を付けるのではなく、日々のケアでどちらにも体に優しい環境を作りフローラ(細菌)を整えることで相互に良い作用が働くことが分かりました。

逆に口か腸のどちらかの炎症が悪化すると、もう片方にも悪化の影響を及ぼし悪循環を作るという流れが見えてきました。

歯周病の改善の観点では、今後は腸内環境をターゲットとした整腸剤などで歯周病の改善や予防治療のアプローチが予見されましたね。

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引用
福岡歯科大学プレスリリース「【研究成果】腸でおこる歯周病の発症と重症化の仕組みを解明」
SUNSTAR「腸のおもしろ話 第5回 歯周病が腸に影響?!」