治療法

運動がIBDに与える6つの恩恵

炎症性腸疾患の運動

運動は気分を良くしたり、潰瘍性大腸炎やクローン病のIBDに関連したいくつかの症状を予防してくれます。

医師とも相談しながらはじめてみてはいかがでしょうか。

1.骨を強くする効果

IBDの30〜60%で骨密度が低下していることが知られています。

炎症により作られるサイトカインステロイドの服用で骨を作る作用を弱め、骨を吸収する作用が上がってしまうことで骨が弱くなってしまいます。

また骨を作るのに必要なビタミンなどの栄養吸収が悪くなることが原因になることもあります。運動には骨を刺激して骨密度を上げる効果があります。

特に自重負荷トレーニング (自身の体重を負荷として利用する筋力トレーニング) は、骨密度をあげて筋肉や関節を強くします。また同様の効果があるのはウォーキングや階段登り、ダンスなどがあります。

2. 筋肉と関節運動の維持

IBDの4人に1人には消化器だけでなく関節にも炎症があることが知られています。

栄養の問題や炎症を抑えるステロイド内服により筋肉が弱ることで関節にも負担がかかります。日頃の運動で筋肉を向上させたり、関節の動きを良くすることができます。

骨を助ける体重負荷運動は、筋肉や関節にも役立ちます。

心臓の鼓動を速くするような有酸素運動は筋力を増強し関節を強化します。

痛みが強くなるときは負荷が少ない水泳やサイクリングを試してみましょう。筋肉と関節の柔軟性を維持するためにストレッチも大切です。

IBD術後の回復

3. IBDの術後の回復を早める

IBDの治療で手術を受けた時は、運動により回復が容易になることがあります。

筋肉を強化し血液を循環させることで血栓 (血の塊) を防ぎ、肺をきれいに保ちます。

術後の運動は必ず医師に確認し、最初は週に2回、30分くらいの階段の上り下りなどの軽い運動からはじめましょう。

4. ストレスを抑える

ストレス自身でIBDは発症しませんが、ストレスで症状が悪化することを実感する患者さんは多くいます。

活動的であることで、ストレスが抑えられることは、実証されています。

特に穏やかでリラックスしたエクササイズであるヨガや太極拳、ウォーキングがお勧めです。

5. 気持ちを上げる

IBDと付き合っていく中で疲れ、気分が落ち込むことも多々あると思います。

IBDではうつになる可能性は約2倍になるという研究報告もあります。

有酸素運動は気分を高めることができます。

有酸素運動により作られるエンドルフィンは痛みを和らげて、心地よい気持ちを作る効果のある化学物質です。

ジョギングやダンス。ジムでのエクササイズ、快適に楽しめるアクティビティを行ってみましょう。

6. 大腸ガンの予防を助ける

52の研究結果について研究者が調べたところ、運動をするグループ (ジョギングを1週間に5〜6時間)と比較して運動をあまりしないグループ (1週間に30分の運動) では大腸ガンのかかりやすさは24%も低くなることがわかりました。

IBD患者さんでも同じことが言えるかはまだ明らかではないですが、大腸ガンのリスクが高いIBD患者さんに運動は多くの利益が得られる可能性があります。

ジョギングや自転車、また他のアクティビティなどで汗が出るくらい運動してみましょう。これから始めるときは、徐々にはじめて、少しずつ負荷をかけましょう。

激しい運動によりけいれんや下痢を引き起こす可能性もあるため、無理はしないように注意しましょう。
症状の軽減や予防に運動することはとても良いことです。症状が落ち着かないときや術後は医師と相談しましょう。

IBDの患者さん中にはプロのスポーツマンが何人もいます。

症状をみながら少しずつ初めてみてはいかがでしょうか。

参考 : WebMD”6 Benefits of Exercise for Ulcerative Colitis